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Jブルークレジットとは?ブルーカーボンの活用について

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Jブルークレジットとは?ブルーカーボンの活用について

Jブルークレジットとは?

Jブルークレジットは2020年度より開始された、ブルーカーボンによって創出されるクレジット取引制度で、カーボンクレジットの一つです。

そもそもカーボンクレジットとは、排出が見込まれていたCO2排出量(ベースライン)と、省エネ技術や再生可能エネルギー導入などによって減少した排出量の差を、クレジット(排出権)として認証するシステムを指します。

企業が得たクレジットは、削減目標を達成できていない企業に販売することができます。カーボンクレジットを購入した企業は、そのクレジット分のCO2排出削減量を、自社のCO2排出削減量として取り扱うことが可能になるため、双方にメリットがあるシステムと言えるでしょう。

そんなカーボンクレジットの一つであるJブルークレジットですが、その取引対象は幅広く、「天然」「養殖」「人工構造物」といったプロジェクトが対象となっています。クレジット活用によって企業が得られた資金は、CO2排出量削減のプロジェクト維持・発展につなげていくことが期待されています。

なお、2022年度のJブルークレジットの承認件数は21件、認証量は3733.1トンとなっており、将来的にはさらなる増加が見込まれています。

ブルーカーボンとは?

ブルーカーボンは、200910月、国連環境計画(UNEP)の報告書において命名された、藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた炭素です。ブルーカーボンは、以下のような隔離・貯留する海洋生態系にも存在しています。

・海草藻場

主に温帯・熱帯の静穏な砂浜・干潟の沖合にある潮下帯に分布するアマモ、スガモ。

・海藻藻場

主に寒帯~沿岸域の潮間帯や水深数十メートルの岩礁海岸に分布するコンブ、ワカメ。

・湿地・干潟

海岸部に砂や泥が堆積しており、水没~干出を繰り返す勾配がゆるやかな潮間帯の地形。

・マングローブ林

国内では鹿児島県以南の海岸が代表的とされる、熱帯、亜熱帯の河川水と海水が混じり合う汽水域。

こうした場所は、総じて「ブルーカーボン生態系」と呼ばれるのが特徴です。ブルーカーボン生態系における隔離・貯留のメカニズムとして、大気中の二酸化炭素が光合成によってブルーカーボンに吸収され、有機物として隔離・貯留される点が挙げられます。

また、枯死したブルーカーボン生態系は、そのまま海底に堆積します。底泥へ埋まり続けることで、ブルーカーボンが蓄積されていくのです。その他、コンブやワカメなどの海藻については、潮流によって外洋に流されるなかで分解されながらも中深層に留まることで、炭素は隔離・貯留されます。

Jブルークレジットの仕組み

ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)によって創設されたJブルークレジットは、ブルーカーボン生態系の利用によって吸収・蓄積された温室効果ガスの量を、売買可能なJブルークレジットとして認証します。

Jブルークレジットの申請者はクレジットの売却が可能になり、クレジット購入者はCO2を間接的に削減できるほか、温暖化対策活動のアピールが可能になる仕組みです。今後利用者が多くなれば、取引を通じた認知度向上にもつながるでしょう。これにより、ブルーカーボン生態系の保全活動活性化が期待されています。

実施例と活用事例

Jブルークレジットはすでに導入・活用が進んでいる制度です。実際にどのような活用方法があるか把握するためにも、3つの事例を紹介します。

兵庫運河における生息場づくり

兵庫県神戸市にある兵庫運河は、地元の漁業協同組合などの地域団体と小学校の協力により、生き物の生息場づくりに着手。防波堤撤去工事などによって生じた廃材(石材・土砂)を流用することで、干潟での生息場づくりが実現しました。この一連の活動がJブルークレジットとして認められており、2.1トン分のクレジットが発行されています。すでに2年連続で承認されており、環境問題の改善だけでなく若い世代の学習としても大きな意味を持っている取り組みと言えるでしょう。

企業が町のクレジット認証取得を支援

ある企業では、ブルーカーボン事業において藻場創出と藻場の創出と浅海生態系保全活動を実施。持続可能な漁業を行っている岩手県洋野町を支援してします。このなかで同社は、町内の増殖溝の藻場にCO2固定能力があることに注目。藻場面積計測やブルーカーボン量算定などを実施し、同町のクレジット認証取得を支援してきました。

こうした活動を評価された同社は、Jブルークレジット制度試行以来最大級となる3,106.5tCO2Jブルークレジット認証を、2022年に取得しています。

横浜でのブルーカーボン事業

神奈川県横浜市では、地域団体との協力によって独自のカーボンオフセット制度が実現しています。その取り組みの代表例として、地域の漁業協同組合は養殖ワカメ・養殖コンブによってクレジットを取得。そこで得た収益を、藻場のモニタリング管理などに活用する仕組みを構築しています。その他、地域の有名レジャー施設と連携することで、市民・事業者を対象とした「親しみやすい海づくり」の啓発イベント開催にもつながりました。

Jブルークレジットのメリット

Jブルークレジットの活用には、いくつかのメリットが存在します。沿岸地域であれば、地元団体・企業と協力してプロジェクトに取り組むことで、クレジットという形で収益を得られます。こうした収益は地元の環境保全にも活用できるため、クレジットを販売する水産事業者としては大きなメリットになると言えるでしょう。

また、クレジット購入者側にもメリットは存在します。CO2の間接的な削減ができるほか、温暖化対策活動の開示が可能となるので、環境問題に敏感となっている現代において企業の大きなアピールポイントになることは間違いありません。

Jブルークレジットの活用を検討しよう

Jブルークレジットの活用によって得られた収益は、環境保全や関連プロジェクトを維持するために活用できます。クレジットを販売する企業にも、購入する企業にもさまざまなメリットがあるため、これを活用しない手はありません。水産事業者として、いつまでも美しい海を維持するためにも、Jブルークレジットの活用を積極的に検討していきましょう。

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