漁業関係者必見!申請できる補助事業について

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瓜生 光

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日本の漁業は食卓の魚離れ、後継者不足、地方過疎化などにより、苦しい状況に陥っているのが実情です。日本政府としても漁業の苦境は理解しており、さまざまな補助事業でサポートする意識を見せています。しかし、なかにはこうした補助事業についてしっかり把握できていない漁業事業者の方もいるでしょう。制度をしっかり活用していくため、今回は漁業事業者が申請できる補助事業について紹介します。

目次

過去にあった漁業事業者関連の補助事業は?

漁業事業者向けの補助事業にはいくつかの種類があり、その対象者や内容はさまざまです。そのため、まずは自分が補助金を受け取る条件を満たしているかについて知ることが重要になるでしょう。ここでは参考として、2023年に漁業関連事業者向けに展開されていた補助事業を紹介します。

水産物持続的利用推進支援事業

水産物持続的利用推進支援事業は、以下の目的をサポートするため設けられた補助制度です。

・厳しい状況に直面している漁業への対処

・国際場裡での連携強化を目的とした途上国への積極的な漁業協力

・国際的な水産資源管理の取り組み推進

・自国漁船の海外漁場での操業確保

支援される事業内容として、水産分野の専門家をアフリカ地域・中南米地域・アジア地域などの開発途上国7ヶ国程度に派遣。政府関係者および水産業従事者等から聞き取り調査などを実施したうえで、以下の技術的助言や協力案件形成を提案します。

・漁村の拠点整備

・海洋環境保全の取り組み

・新型コロナウィルス感染症拡大による影響を受けた漁業コミュ二ティの代替生計手段確保

これにより、産業育成やコミュニティの強靱性・福祉向上が期待されるでしょう。

また、この事業に対する補助金額は2,1589千円以内となっており、補助率は1/2以内と定められています。補助対象となるのは人件費や賃金、消耗品費、旅費などです。

女性活躍のための実践活動支援事業

漁業は男性の仕事というイメージが強く、女性の漁業従事者が少ないのは確かな課題となっています。一方で、漁業や水産業を主要産業とする地域の活性化に向けては、女性だからこそ気付ける視点も重要になるでしょう。そこで、女性活躍のための実践活動支援事業では、漁村に住む女性・女性漁業者が地域で取り組む特産品開発、水産物関連のイベント開催、直売所・食堂経営などを支援対象としています。

こちらの交付金額は4855千円以内となっており、交付率は1/2以内となっています。交付対象の経費は、謝金、旅費、設備費、備品費、消耗品費などです。

過去から見る補助事業の申請手続きとポイント

補助事業への申請によって補助金などを受け取るためには、いくつかの手続きを行う必要があります。もし、申請に不備があった場合、補助金を受給できなくなる恐れがあるため、しっかり把握しておきたいところでしょう。そこでここでは、2012年の補助事業申請時に求められた手続きを参考として、申請書の記入・提出方法、成功するためのポイントについて紹介していきます。

申請書の記入と提出に関するガイド

2012年に設けられた補助事業の申請手続きでは、以下の書類作成および提出が求められていました。申請時に不備を生じさせないためにも、ここで確認しておきましょう。

・漁業就業者確保・育成対策事業のうち新規就業者対策基金事業に係る課題提案書送付状 正1

・漁業就業者確保・育成対策事業のうち新規就業者対策基金事業に係る課題提案書 2

・提出者の概要(団体概要等)がわかる資料 2

・(民間企業の場合)会社履歴、直近2ヶ年間の財務諸表、業務報告書、パンフレット

・(公益法人の場合)定款または寄附行為、業務方法書、業務報告書、直近2ヶ年間の収支決算書および貸借対照表、パンフレット

成功するための申請ポイントと注意事項

申請書に不備を出さないためには、いくつかのポイントを把握しておく必要があります。2012年の補助事業申請では、提出にあたって以下のポイントが求められました。

・提出書類に使用する言語は日本語

・必要書類の提出方法は基本的に郵送もしくは宅配便 ※何らかの理由があった場合窓口受付も可、FAX・電子メールによる提出は不可

・書類を提出する際は配達が証明できる簡易書留・配達記録等を利用

・提出期限に間に合わなかった場合、いかなる理由でも申請は無効

・書類不備があった場合は審査対象外

・書類差し替えには非対応

・応募団体の要件を満たしていない場合、書類は無効

・書類作成及び提出に発生する費用は提出者負担

上記の注意点を理解しつつ、前述した必要書類を揃えれば、申請に不備が生じるリスクを軽減できます。

過去の補助事業を使った成功事例

漁業従事者のなかには、補助事業を利用することでどのような成果が見込めるか気になる方もいるはず。そこでここでは、過去に補助事業を利用した漁業従事者がどのような成功を収めたかについて、事例を紹介します。

ホームページリニューアル、パンフレット作成でうなぎの売上増加

うなぎの生産・加工・販売を事業としている企業では、誘客のため養鰻場見学ツアーを開催。クライアントには外国人が多かったこともあり、小規模事業者持続化補助金を活用して英語版のパンフレットを作成しました。これにより、インバウンドでやって来た観光客に、ストレスなくうなぎや和食の文化を伝えられるようになっています。

また、ホームページについても英語・中国語・韓国語に対応したものにリニューアル。これにより、インバウンド客からは問い合わせが増加しており、売上増加にもつながる結果になりました。

冷却器導入・ポスター作成で新規顧客を獲得

イワガキなどの水産養殖業をメイン事業としている企業では、2018年に小規模事業者持続化補助金を活用して冷却器を導入。これにより、夏場の炎天下であってもイワガキの鮮度を保持できるようになりました。競合他社が対応できないタイミングでも生食出荷が可能になり、利益アップにつながっています。

また、補助事業を利用してイワガキの知名度をアップさせるためのポスターも作成。知名度と品質を着実にアップさせたことで、新規顧客の獲得も実現しています。

補助事業の活用で漁業に新たな可能性を見出せる!

新たな事業や現在の業務改善を望んでいても、お金の問題から断念している漁業事業者は少なくないでしょう。そうした方たちこそ、補助事業の存在は知っておくべきものとなります。日本の漁業事業者は補助金を有効活用することで、漁業の新しい可能性を発見したり、事業拡大を図ったりできる期待が持てます。まずは補助事業の内容を理解したうえで、自身が受給の条件を満たしているかどうかについて確認してみてください。

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