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遠洋漁業って儲かるの?現場で働く人のリアルな声

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遠洋漁業って儲かるの?現場で働く人のリアルな声

遠洋漁業と聞くと、広大な海を舞台にしたダイナミックな仕事というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、その実態や収入事情については意外と知られていません。本記事では、「遠洋漁業は本当に儲かるのか?」という疑問に対し、現場で働く漁師たちのリアルな声や実際の収入、働き方の特徴、将来性などを詳しく解説します。漁業への関心がある方や、進路として検討している方にも役立つ内容をお届けします。

目次


遠洋漁業とは?基本情報と国内外の動向

遠洋漁業とは、日本近海を離れた海域や他国の認可海域などで行われる漁業を指します。一般的に操業期間は数週間から数か月におよび、長期間の航海を必要とするのが特徴です。対象魚種には、マグロ、カツオ、カジキ、サンマなどの大型回遊魚が多く含まれ、これらは日本の食文化においても重要な役割を果たしています。

日本の遠洋漁業は戦後の高度経済成長期に発展し、一時は世界有数の漁獲量を誇っていました。しかし近年では、燃料費の高騰や乗組員の高齢化、さらには漁業資源の枯渇など、さまざまな課題に直面しています。また、国際的な海洋資源の保全に向けた取り組みが強化されており、各国が漁獲枠を設定することで日本の漁獲量にも影響が出ているのが現状です。

特に太平洋のクロマグロやインド洋のキハダマグロなどは、国際機関によって厳しい資源管理の対象となっており、違反すれば制裁が科せられることもあります。そのため、漁師たちは「獲りたくても獲れない」状況に直面しており、遠洋漁業をビジネスとして成立させるには、高い技術と戦略的な操業が求められるようになっています。

遠洋漁業の収入事情|実際に「儲かる」のか?

遠洋漁業に従事する漁師の収入は、他の職業と比べて比較的高い水準にあります。平均的な年収は400万〜800万円程度ですが、熟練の乗組員や船長クラスになると、年収1,000万円を超えるケースもあります。ただし、その報酬体系は固定給ではなく「歩合制」が一般的で、漁獲量や販売価格に応じて変動する点が大きな特徴です。

船の規模や操業する海域によっても収益に差が出ます。たとえば、太平洋でマグロを狙う大型まき網船団や延縄漁船は、高い漁獲量を見込める分、設備投資や燃料費も多くかかります。一方、比較的小規模な遠洋船ではコストを抑えつつ効率的な操業が求められるため、運営手腕によって利益率に大きな差が生じます。つまり、どの船に乗るか、どの魚種を狙うかによって「儲かるかどうか」が左右されるのです。

また、遠洋漁業は自然環境に大きく左右される産業でもあります。気象条件や海流の変化、魚群の移動パターンによっては、数週間の航海でほとんど漁獲がない場合もあります。そのため、収入に波があるのが当たり前とされており、安定収入を求める人にとっては大きな不安要素となるでしょう。

さらに、近年は漁獲枠の制限や輸出規制の影響で、せっかく漁獲しても思うような利益につながらないこともあります。とはいえ、高収入を目指せる数少ない現場仕事であり、「実力と運」が結果に直結する魅力もあるのが遠洋漁業の大きな特徴です。

現場のリアルな声|やりがいと苦労

遠洋漁業の現場は、想像以上に過酷です。数週間から数か月にも及ぶ長期航海では、陸に上がることなく船上で生活を続けることになります。寝起きは基本的に狭い船室で、通信環境も不安定なため、家族や友人との連絡がとれない日々が続くこともしばしばです。また、乗組員同士の距離が近いため、人間関係がうまくいかないと精神的なストレスも大きくなります。信頼関係を築くコミュニケーション力が求められるのは、海の上でも同じです。

さらに、天候や海況の変化に常にさらされる現場では、体力と集中力が必要不可欠。作業は早朝から深夜に及ぶこともあり、休息時間も不規則です。船が大きく揺れる中での作業は危険を伴い、怪我のリスクも常にあります。特に、荒天時の操業は命の危険と隣り合わせであり、熟練の乗組員であっても慎重さが求められます。

それでも、多くの漁師たちがこの仕事を誇りに思い、長年続けている理由があります。一つは、やはり「獲った分だけ報われる」という明快な成果主義。大量に漁獲したときの達成感や、その成果が家族や仲間に還元される実感が、何よりのモチベーションになっています。また、外国の海を渡り、異文化に触れる機会があるのも遠洋漁業ならではの魅力です。

「船の上は厳しいけど、帰港したときの達成感は何にも代えがたい」
「自分の手で家族を養っている実感がある」

こうした声が、現場には数多くあります。遠洋漁業は単なる「仕事」ではなく、「生き方」として受け継がれている文化でもあるのです。

遠洋漁業の将来性と課題

遠洋漁業は今、大きな転換点を迎えています。その背景にあるのが「担い手不足」と「高齢化」です。若者の漁業離れが深刻化する中、遠洋漁業の船員の平均年齢は年々上昇しています。過酷な労働環境や長期間家族と離れる生活への抵抗感が、若年層の新規参入を阻む大きな壁となっており、このままでは産業自体の持続が危ぶまれる状況です。

さらに、資源管理の厳格化も重要な課題です。国際的には、マグロやカツオといった回遊魚の保全のために、漁獲枠(TAC)や操業期間の制限が強化されつつあります。特にクロマグロなどは過剰漁獲の影響で個体数が激減し、国際会議での漁獲制限が厳格に運用されるようになりました。これにより、かつてのような大量漁獲で利益を上げるモデルは通用しなくなってきています。

しかし、このような状況下でも、希望はあります。それが「テクノロジーの導入」です。近年、遠洋漁業でもICTやAI、IoTなどの先端技術を活用する動きが進んでいます。たとえば、魚群探知機や海洋データ解析を用いた漁場予測、燃料消費の最適化システム、ドローンや衛星を活用した監視などにより、効率的かつ持続可能な操業が可能になりつつあります。

また、漁業データの可視化により、収益性の高い操業モデルを構築することも可能です。こうした技術を活用できる人材の育成と、経営的視点を持った漁業経営者の登場が、今後の遠洋漁業の未来を左右する重要な鍵となるでしょう。

持続可能性と収益性、この二つを両立させる新しい遠洋漁業の形が、いま求められています。

遠洋漁業で成功するために必要な視点

遠洋漁業で安定した収入を得て、長く成功するためには「戦略的なキャリア設計」が欠かせません。最初は乗組員として乗船し、経験を積みながら上位の役職を目指していくのが一般的な流れです。機関長や漁労長、最終的には船長に昇格すれば、責任は大きくなりますが、年収1,000万円以上も夢ではありません。また、漁業以外の資格や技術(整備士、無線通信など)を持っていれば、業務の幅を広げて評価を得やすくなります。

加えて、近年注目されているのが「法人化された漁業経営」です。個人で乗船するだけでなく、複数の漁船を運営する会社に所属し、経営戦略の一環として水揚げ・販売・流通をトータルで管理するスタイルです。これにより、市場価格に左右されにくいビジネスモデルが構築され、収益の安定化が見込まれます。地域ブランド化や直販体制の構築なども重要な取り組みです。

さらに、遠洋漁業は「他業種との連携」で可能性が広がります。たとえば、漁業と観光を組み合わせた体験型ツーリズム、水産加工業との連携による高付加価値商品の開発、さらには飲食店と連動した漁師直送モデルなど、多様なビジネス展開が可能です。

これからの遠洋漁業は、「魚を獲るだけの仕事」ではなく、「海から食卓までの流れをプロデュースするビジネス」として捉えることが、成功の鍵になるでしょう。

遠洋漁業に関するよくある質問(FAQ)

遠洋漁業に興味があるけれど、「未経験でできるのか不安」という声はよく聞かれます。実際のところ、未経験からスタートできる環境は整っており、多くの船では新人教育の体制が整っています。体力とやる気があれば採用されるケースも多く、特に若い世代は歓迎されやすいです。初めての場合は、漁協や地域の漁業支援団体が開催する「漁業体験」や「乗船体験」から始めると良いでしょう。

求人は各地の漁協、船主組合、専門の求人サイト、水産高校や大学の就職支援部などを通じて探すことができます。最近ではSNSやYouTubeなどで現場の様子を発信している船も増えており、リアルな現場の雰囲気を事前に知ることも可能です。

資格については、乗船にあたっては「海技免状」や「小型船舶操縦士」などが必要になる場合がありますが、必須ではありません。働きながら取得できる制度も多く、ステップアップの一環として資格を取ることで昇給・昇進にもつながります。また、通信士や衛生管理者、エンジン整備士などの専門技術を持っていると重宝され、より多くの選択肢が広がるでしょう。

これからの漁業は「人材不足」という課題を抱えており、若手や未経験者にとってはチャンスでもあります。興味があるなら、まずは一歩踏み出してみる価値は十分にあると言えるでしょう。

まとめ|遠洋漁業は大変だが、夢のある仕事

遠洋漁業は、高収入を得られる可能性がある一方で、肉体的・精神的に厳しい仕事でもあります。自然との闘い、長期間の航海、不安定な収入など、多くのリスクが伴う中、それでも続けている人々がいるのは、この仕事にしかない魅力と誇りがあるからです。大きな魚を自らの手で獲り、世界の海を渡るという経験は、他のどんな仕事でも得られない貴重なものです。

また、遠洋漁業は単なる「職業」ではなく、日本の食文化と食料供給を支える「社会インフラ」でもあります。国際的な漁獲規制の中で、日本が持続的に魚を食べ続けるためには、遠洋漁業の存在が不可欠です。そのため、この分野に若い世代が参入し、新しい視点と技術で未来を切り開いていくことが求められています。今後は、IT技術の導入やグローバルな物流との連携など、漁業のあり方も大きく変わっていくことでしょう。変化を恐れず、チャレンジする人材がこの業界に飛び込んでくることが、次の世代の漁業を創る鍵になります。

「きついけど、誇りのある仕事」。それが、遠洋漁業です。
もしあなたが、自然と向き合い、自分の力で生きていく道を探しているなら、遠洋漁業という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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