福岡県初!産官民の3社連携における「Jブルークレジット取得検討会」
今とても大切な海洋の取組の1つとして、CO2排出量が大幅に削減されることが期待されるJブルークレジッ...
瓜生 光
内訳を見てみると、海面漁業の漁獲量は289万3,700トンとなり、前年と比べて9.4%の減少に。
海面養殖業農林水産省が令和5年に発表した「令和4年漁業・養殖業生産統計」によると、令和4年の漁業・養殖業生産量は385万8,600トンであり、前年に比べて7.5%減少していると判明しました。これまで漁業・養殖業生産量は9年続けて400万トン代を保ってきましたが、今回ついに400万トンを下回る結果となっています。
この収穫量は91万900トンで前年比1.7%の減少となっており、全体的に生産量が減少しています(※1)。
1980年代以降、日本における漁獲量は年々減少が続いてきました。農林水産省が発表している「漁業・養殖業生産量の推移」を見てみても、平成30年からの数年間で漁獲量は徐々に減少していることが判明しています。
令和2年にはようやく生産量が増加に転じたものの、それ以降は再び減少傾向に。前述したように、令和4年には漁業・養殖業生産量が300万トン台にまで落ち込んでおり、これ以上数値を減らさぬためにも何らかの対策が求められる状況となっています。
日本の漁獲量は、1984年の1,160万トンをピークに現在は急激な減少が続いています。
2018年には442万トンにまで減っており、1984年の約3分の1にまで数字が落ち込んでしまいました。
一方で、世界全体を見ると中国や東南アジアを中心に、漁獲量はむしろ増加傾向にあります。
そうしたなか、日本の漁獲量が減少してしまった背景には、いくつかの理由があると考えられています。
なぜ、日本の漁獲量はここまで減少してしまったのか、ここで確認しておきましょう。
漁獲量減少の理由として、考えられるのが「気候変動」です。
世界的な問題となっている地球温暖化の影響もあり、年々海水温は上昇。海水温が変化すれば、その海域で取れる魚の種類も変化します。
これまでは日本近海で取れていた冷たい海水を好む魚が、海水温上昇によって回遊ルートを変更し、より北へ向かってしまうケースも。
以前は日本で安定して取れていたサンマやサケもこのケースに当てはまると考えられており、漁獲量減少の原因となっています。
気候変動と同じく、漁獲量減少の原因となっているのが環境汚染です。
現在では改善が進んでいますが、1950年代からしばらくの期間、日本では工場の汚水が海に垂れ流しの状態になるなど、深刻な環境汚染が続けられていました。
また、魚に害のある赤潮の発生もあり、魚の数が減少。
近年ではこうした環境汚染が問題視されており、以前と比べて海の汚染は改善されていますが、全盛期から漁獲量が減少した原因と考えられています。
かつての日本は海外の漁場でも漁業を行っており、そうした点も高い漁獲量につながっていました。
一方で、日本は1983年に国連海洋法条約に基づき設定された排他的経済水域(EEZ)に署名。これにより、海外の漁場から撤退することになりました。
もちろん、排他的経済水域の設定は自国の資源を守ることにつながり、日本の漁業を他国から守る役割も果たしています。
ただし、これが日本の漁獲量減少の一因となったのは事実と言えるでしょう。
年々漁獲量が減少している日本の漁業ですが、現在ではさまざまな対策がスタートしています。こうした対策が実を結べば、漁獲量の回復も期待できるでしょう。ここでは、現在具体的にどのような対策が進められているかを紹介します。
長期的に安定した漁獲量を維持するためには、資源の管理が必要不可欠です。漁師側の設備や技術に問題がなくても、肝心の魚が少なければどうすることもできません。そこで、水産庁では「実効ある資源管理」「資源の持続的な確保」「種苗放流等の資源増加」といった取り組みを進めています。
実際に、各都道府県の栽培漁業センターなどで、約70種類(ヒラメ、マダイ、ウニ類、アワビ類)を対象とした水産動物の種苗放流を実施。また、成長した魚をすべて獲り切るのではなく、あえて残すことで再生産を確保する「資源造成型栽培漁業」も進めるなど、資源確保に向けて積極的な動きを見せています。
漁獲量を回復させるため、水産庁は「沖合域の漁業」に注目しています。沖合域は、アジやサバといった多獲性浮魚類、スケトウダラなどの底魚類やカニ類と、多種多様な水産資源が生息している海域です。この海域に生息する資源については、前述した種苗放流による増大が難しいため、生息環境の改善が求められます。
そのため、これまで全国各地の海域で人工礁等の設置、産卵場・生息場・餌場などの提供といった対策が実施されてきました。また、海域の生産力を高めるマウンド礁(増殖場)の整備についても国を挙げて取り組んでおり、水産資源の保護が順調に進められています。