
今とても大切な海洋の取組の1つとして、CO2排出量が大幅に削減されることが期待されるJブルークレジットについて福岡県、糸島漁業協同組合×糸島市役所×株式会社ヴェントゥーノの会合に参加させて頂きました。ここでは様々な取り組みが紹介され、未来の地球のためにも美しい海を守る魅力的なお話が沢山発表されましたので、その中でも一部ご紹介させていただきます。
目次糸島漁協と株式会社ヴェントゥーノの協定締結により生まれた3つの進捗

①未利用メカブを活用したスキンケアの開発
メカブから抽出される海藻のねばり成分「フコイダン」を活用した、新スキンケアブランド「人魚の伊都姫」を2022年4月に発表。 ジェルパックは糸島市のふるさと納税返礼品に活用いただき、糸島の海の魅力を発信する糸島の新ブランドとして展開。
②協定に賛同いただける漁師の増加
本協定は漁協だけではなく、地元漁師の方々からのご協力も必要不可欠。 漁師の方と日々会話を重ねることで活動に賛同いただき、取引を実施いただく漁師が、1年目は1軒でしたが、4年目 (2024 年1月時点)では5軒と増えており、地元協力の輪が拡大。 2025年度は芥屋・深江支所へも協力依頼。
③環境省「我が国におけるブルーカーボン取組事例集」に採択
環境省の取り組みである「我が国における ブルーカーボン取組事例集~藻場干潟の保全・創出によるCO2吸収源対策~」に採択。 2023年11月30日~12月12日にアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催されたCOP28において、環境省が主催する「ジャパン・パビリオン」にて配布。
Jブルークレジットとは?

‣JBE(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合 )により認証・発行されるクレジット制度。
‣政府主導のJクレジットとは異なり、民間主導のボランタリークレジットに分類。 2021年度に5件、2022年度には20件、2023年度には28件のクレジットが認証( 2024年9月末時点)。
‣株式会社ヴェントゥーノも来年度のクレジット化に向けて、糸島漁協、糸島市役所、福岡県と調整中。
Jブルークレジット×糸島ワカメ養殖場その1

実施目的
・糸島の海で養殖されたワカメのブルーカーボンクレジット化により、漁師の収入アップに貢献
・クレジットによる永続的な藻場の保全・造成に努める
・自治体、漁協、地元企業の3社連携としては福岡初のJブルークレジット化によりSDGs推進市としてのPRと市民への環境問題への啓発
実施時期
現地調査(空中ドローンによる藻場撮影)
:2024年12月上旬現地調査(ワカメ湿重量の測定)
:2025年3月中旬 クレジット申請
:2025年7月予定 クレジット認証・発行:2025年12月予定
プレーヤー
糸島漁協・糸島市役所・福岡県・ヴェントゥーノ
開催場所
糸島漁協ワカメ養殖場(福吉/深江/芥屋)
Jブルークレジット×糸島ワカメ養殖場その2

実施項目詳細
①空中ドローンによる藻場撮影( 2024年12月上旬)
福吉支所:5軒深江支所:5軒芥屋支所:5軒
上記の全箇所に対し、空中ドローンによるロープの全長の把握
・位置情報取得の留意点として、画像等は位置の補正(幾何補正 、オルソ補正)が必須
・客観データとして、何本ロープが設置されているかが分かる映像を撮影
②養殖ワカメの湿重量計測( 2025年3月中旬)
・代表的な地点で刈り取りを行ってその重量を計測
・実入りのいいロープを3本以上選び、ワカメの湿重量を計測し、ロープ1m当たりの湿重量を測定
カーボンクレジットに対する糸島市の見解
【環境価値の創出による課題の解決】
▶水産業は、糸島ブランドを支える主要産業 ⇒漁業者数や藻場の減少が課題。
▶株式会社ヴェントゥーノと糸島漁協の協定 ⇒課題解決をめざす取組に注目。 ⇒地元自治体としてサポート。
▶Jブルークレジットによるメリットの創出 ⇒漁業者の収入確保以外にも、環境問題に取り組む経営姿勢への評価、ブランドイメージの向上を期待。
【カーボンクレジット制度の市内への波及】
▶市内初の事例として大きなPR効果が期待できる。
▶市内に眠る環境価値創出につながる『資源』の掘り起こし (森林の温室効果ガス吸収量、太陽光・小水力発電等の再生可能エネルギー・省エネルギー設備の導入など)
▶市内で創出された環境価値が地域や社会全体で活用されるきっかけとして期待している。
結論と展望
糸島漁業協同組合×糸島市役所×株式会社ヴェントゥーノにおける素晴らしい産官民の連携により、美しい海洋を守りながら地元漁師の皆様の収益向上にも貢献し、また地域ブランドの向上にも繋がる取組は全国の海洋関係各所にもご参考となり魅力を感じます。これからの活動にも注目したいですね。かけがえのない地球を守り美しい海と共に歩みましょう。